DaVinci Resolve Studio有償版でしか使えない機能

 

DaVinci Resolve Studio有償版でしか使えない機能

 

DaVinci Resolveには2つのバージョンがあります。
DaVinci ResolveとDaVinci Resolve Studioです。
名前にStudioとついていない方のDaVinci Resolveは、無償で提供されていて、商用利用可能で、期限なしでずっと使うことができます。
しかも95%くらいの機能が開放されているので、ほとんどの人はお金を払わずに数多くの機能を使いながら自由自在に編集をすることができます。

 


一方、名前にStudioとついている方のDaVinci Resolve Studioは、有償版です。
無償版をしばらく使っていると、はて、有償版を買うとどんないいことがあるのかしら、といぶかしく思い始めることになるかもしれません。
有償版を買うにしても、ちゃんと何が違いなのかはっきりさせておきたいという方もいるでしょう。


記事については以下文書にまとめられているのですが、英語のみで、しかもあくまで事務的に文章のみで記載されているだけなので、
この記事ではもう少しわかりやすく説明してみます。

ココPDF


これが決定版!とできれば高らかに宣言したいいところですが、DaVinci Resolveはどんどん新しい機能が追加されるので有名な編集ソフトです。
この記事が古くなってしまうときもいずれ訪れることが予想されます。
もしこれが決定版だとしても決定版としての命は短くならざるをえないでしょう。とりあえず2022年1月段階の決定版とお考えください。

 

簡単に言うと、有償版を使うと、

H.264系の10bitファイルが読み込めて
(あなたがWindowsユーザーなら)H.264の書き出しが速くなって
最先端のAIを活用した高性能なツールが10種類ほど使えるようになって(とくにマジックマスク!)
映像と音声のノイズがどの編集ソフトよりもきれいに除去できるようになって
40種類ものクールな標準搭載のエフェクト(Resolve FX)がアンロックされて、高いプラグインを買わなくてもよくなる
ということになります。

 

有償版は買い切りで、月額いくらという形で支払う必要はありません。
メジャー・アップデートもタダです。
これはつまりどういうことかというと、買うのが早ければ早いほど、有償版を長く使えることになり、日割り、月割りにしたら結果的により割安になるということになります(ちょっとせこい考えですが)。
無償版ユーザーの方でこれからもずっと無償版を使っていきたいという方はそのまま使っていただいてまったく問題ありませんが(ほんとです)、
有償版を買おうか迷っている方や、自分にとって無償版から有償版にステップアップする価値があるのかはっきりさせたい方にとって、
この記事が多少なりとも参考になり役に立ったら嬉しいです。


 解像度とフレームレート
 オーディオサンプリングレート
 ノイズリダクション
 DaVinci Neural Engine(AIツール)
 コーデック
 ビデオクリーンフィード
 10bitビューワー表示
 デインターレース
 レンズ歪み補正
 HDR関連機能
 Dolby Atmos
 Fusionツール
 複数のGPU
 リモート系機能
 パワーマスタリング
 ステレオスコピック3D
 Frame.ioサポート
 開発系機能
 Resolve FX
 テクニカルサポート

 

解像度とフレームレート
無償版でも有償版でも読み込める解像度には制限はありません。
無償版で制限があるのは、タイムラインの解像度と、書き出しの解像度です。
無償版は4K(3840x2160)まで対応しています。

有償版になると16Kまで対応しています。
フレームレートについても解像度と同じく制限があるのはタイムラインと書き出しにおいてのみです。
無償版はタイムラインと書き出しで60fpsまでのフレームレートが使用できます。
有償版ではタイムラインと書き出しで120fpsまでの設定が選べます。


オーディオサンプリングレート
有償版ではハイレゾ音声に対応しています。
タイムラインを作るときやファイルを書き出すときに96kHzと192kHzの設定が選べます。
無償版では48kHzまでです。


ノイズリダクション
非常に強力な映像のノイズリダクション機能は有償版でのみ使用できます。
カラーページの「モーションエフェクト」というタブからアクセスできます。
時間的ノイズリダクションは前後のフレームを参照してノイズを除去し、空感的ノイズリダクションは周りのピクセルを参照してノイズを除去します。
ディテールが失われにくい時間的ノイズリダクションの方がおすすめです。
同じセクションにあるモーションブラーも有償版のみで使用可能な機能です。


DaVinci Neural Engine(AIツール)
DaVinci Resolveに搭載されたAIツール、DaVinci Neural Engineを
使用した機能はおおむね有償版でのみ使用できるようになっています。

 AI自動マスク作成(マジックマスク)
 AIスローモーション(スピードワープ)
 AI超解像技術(スーパースケール)
 AIバレ消し(オブジェクト除去)
 AI顔検出(人物検出)
 AI顔補正(フェイス修正)
 AI音声ノイズ除去(ボイスアイソレーション
 AIインターレース除去(デインターレース
 AIリフレーム(スマートリフレーム)
 AIシーンカット検出


コーデック
とくにWindows版のDaVinci Resolveを使っている方から、無償版から有償版にしたら書き出しのスピードが速くなった、という話をよく聞きます。
これは有償版がNVIDIAAMDなどのハードウェアアクセラレーションを使ってH.264やH.265の書き出しをする機能を搭載しているからです。
コーデックに関する有償版の主な利点は次のとおりです。

 Windows版でのGPUハードウェアアクセラレーションを使ったH.264、H.265のエンコード(書き出し)とデコード(読み込み)
 H.264系 10bitのファイルのデコード(読み込み)
 Sony XAVC、HEIF、JPEG 2000のエンコード(書き出し)とデコード(読み込み)
 Kakadu JPEG 2000とIMFフォーマットの解像度やデータレートの制限なしのエンコード(書き出し)
 書き出しの際の高度なIMFパッケージ設定(Netflix、Disney、Sony Picturesのプリセットを含む)


ビデオクリーンフィード
有償版にはDaVinci Resolveの編集画面を外部モニタに全画面で表示する機能があります。
外部モニタを接続して、拡張ディスプレイ表示にした状態でDaVinci Resolveを立ち上げると、
ワークスペース」のプルダウンメニューにクリーンフィードの設定が出てきます。


10bitビューワー表示
有償版ではビューワーの映像を10bitで表示できるオプションが環境設定の中に現れます。
無償版の場合には素材が10bitのものでも8bitで表示されます。


インターレース
DaVinci Resolveは放送の世界で標準になっている1080i59.94のビデオフォーマットをサポートしています。
DaVinci Neural Engineを使った高品質なデインターレース機能は有償版のみで使用できます。

レンズ歪み補正
魚眼レンズなどで映像が歪んでしまうことがありますが、有償版は自動でそれを補正できます。
インスペクタから使えます。後述のResolve FXの「レンズ歪み」も同様の機能です。

HDR関連機能
無償版でもHDR(ハイダイナミックレンジ)カラーホイールは使えますが、
それ以外の細かなHDR関連機能が無効になっています。

 Dolby Vision、HDR10、HDR10+、HDR Vivid
 H.265 Dolby Visionエンコード
 HDRスコープ
 UltraStudio/DeckLinkのHDMI・SDI出力でのHDRメタデータ重畳


Dolby Atmos
Dolby VisionとともにDolby Atmosに関するツールも有償版のみで使用できます。
そのほかのイマーシブオーディオフォーマット(Auro-3D、MPEG-H、SMPTE ST 2098、NHK 22.2ch)も有償版のみで使用できます。
FairlightのプルダウンメニューからアクセスできるBチェインコントロールも有償版のみです。


Fusionツール
200種類以上あるFusionページのツールのうち、3D空間でトラッキングできるカメラトラッカーと、3種類のVR系ツールは、有償版でのみ使用できます。

 カメラトラッカー(Camera Tracker)
 緯度/経度パッチャー(LatLong Patcher)
 パノマップ(PanoMap)
 球面スタビライザー(Spherical Stabilizer)

 

複数のGPU
複数のGPUがある場合、無償版ではひとつのGPUしか使用できません。
有償版なら複数のGPUのプロセシングパワーが使用できます


リモート系機能
有償版ではいくつかのリモートワークフローのための機能が使えます。

 リモートグレーディング
 あるマシンからべつのマシンを遠隔で操作して、カラーグレーディングをするための機能です。
 海外のカラリストが日本にあるマシンを遠隔操作してカラーグレーディングした事例があります。

 リモートレンダリング
 あるマシンからべつのマシンにデリバーページのレンダリングの仕事を投げて、そこでファイルの書き出しをさせる機能です。
 メインのマシンが非力でも、強力なスペックを持つレンダリング用のマシンに書き出しを任せられます。

 リモートモニタリング
 DaVinci Resolve 18から加わった新アプリ、DaVinci Remote Monitoringでは、
 あるマシンからべつのマシンに高品質の映像をリアルタイムで送ることができます。
 無償版でも使えますが、有償版になると10bit RGB 444の映像ストリームと、音声ストリームも送れます。
 このアプリについてはこの動画の21:56から説明しています。

 リモートパネル
 DaVinci Resolve Advanced PanelとDaVinci Resolve Mini Panelはリモートで接続できます。
 使い方の詳細は「ヘルプ」→「ドキュメンテーション」→「テクニカル」→「Technical Documentation」→「DaVinci Remote Panel.txt」にあります。
 DaVinci Resolve Advanced Panelが使えるのは有償版のみです。


パワーマスタリング
デリバーページにはテープ書き出しの機能があります。
HDCAMなどのテープデッキにUltraStudio/DeckLink経由で接続して書き出せます。
インサートやアセンブリは無償版でも使えますが、レンダリングなしに一気にタイムラインをテープに書き込むパワーマスタリングが使えるのは有償版のみです。


ステレオスコピック3D
あまり使う人はいませんが、DaVinci Resolveは昔から強力なステレオスコピック3D機能を搭載しています。
カラーページで左右それぞれの映像を細かく調整したりもできます。
それほどみんながみんな使うわけではありませんが、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』もこの有償版の機能を使って制作された映画のひとつです。


Frame.ioサポート
Frame.ioとのコラボレーション機能が搭載されているのは有償版のみです。
そのほかのインターネットアカウント、YouTubeTwitter、Vimeo、Dropboxとの連携は無償版でも使用できます。


開発系機能
DaVinci ResolveではAPIが提供されていて、外部スクリプトからDaVinci Resolveを動作させたり、
オリジナルのアプリやプラグインを作ったりできます。
会社のパイプラインやワークフローにうまく組み込んで一部の作業を自動化することもできます。
これが使えるのは有償版のみです。

 ワークフローの統合機能
 エンコードプラグイン
 DCTL(DaVinci Colorspace Transform Language)
 ローカルやリモートのマシンからの遠隔スクリプト制御


Resolve FX
Resolve FXというのは、DaVinci Resolveオリジナルのエフェクトです。
標準搭載のプラグインと表現してもいいでしょう。
現在DaVinci Resolveには90種類弱のResolve FXが搭載されています。
このうち40種類弱のResolve FXが、有償版でのみ使えるようになっています。


テクニカルサポート
電話やメールでの技術的なサポートを受けられるのは有償版ユーザのみです。