参政党(さんせいとう、ローマ字表記: Sanseito[10]、英: Party of Do It Yourself)は、日本の政党。2020年に設立され、2022年の第26回参議院議員通常選挙で得票率2%を上回って1議席を獲得し、各種の法制度上の政党要件を満たす国政政党となった。
保守系で、「国民参加型政党」を標榜している。キャッチコピーは、投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる[3]。
党名
党名は、「皆さんに『参加』してもらえる『政治』をつくる『チーム』」と言う意味である[9]。英語名は「Party of Do It Yourself」。「自身でやる」という意味である[注釈 1]。党名、政党DIY(後述)は共にKAZUYAが名付けた[12]。
党史
2019年4月に元吹田市議会議員で龍馬プロジェクト会長の神谷宗幣らが開設したYouTubeチャンネル『政党DIY』[注釈 2]が前身である[11]。同チャンネルでは、およそ1年間にわたって社会問題や政治についての動画を50本以上配信し、約4万5000人のチャンネル登録を得た[11]。
2020年3月17日に政治団体として届出を行い[13]、同年4月11日に正式に結党[11]。結党メンバーには、神谷のほかにKAZUYA、渡瀬裕哉、篠原常一郎、松田学が名を連ねた[11]。また、党員には配信動画の視聴者など約3000人が集まった[14]。
2021年、結党メンバーの一人であったKAZUYAが離党。自身のYouTubeチャンネルによれば「ディープステートなどの陰謀論に傾斜し、現実から遠のいてしまったため」と述べている[15]。同年の第49回衆議院議員総選挙は、支持の広がりに確信が持てず見送った[14]。
2022年の第26回参議院議員通常選挙へ向けて、選挙区と比例代表にそれぞれ5名の候補者を擁立することと、議席を獲得することを目標に活動を進めた[14]。当初は難航したものの、党の関係者によれば同年4月頃から街頭演説の様子がYouTubeなどのインターネットの世界で拡散し、選挙公示日前には党員・サポーターは3万人、寄付額は3億円を超えるほどに拡大した[14]。同選挙では、比例代表で5人の候補者を立てたほか、45の選挙区すべてに候補者を擁立し[2]、選挙の結果、比例代表で神谷宗幣が当選し、1議席を獲得[4]。加えて、選挙区・比例代表ともに得票率2%以上を記録し、公職選挙法や政党助成法上の政党要件を満たした[4][注釈 3]。
政治的立ち位置
保守色の強い政党である[3][4]。2022年の参議院選挙では、考える力を養い、伝統を大切にする「教育改革」、無農薬などを推進する「食の安全」、外国人からの投資を規制する「国まもり」を重点政策とし[14]、新型コロナウイルス感染症対策として、「マスク着用の自由化」などを掲げた[4]。
理念・綱領
綱領は、「先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる」「日本国の自立と繁栄を追求し、人類の発展に寄与する」「日本の精神と伝統を活かし、調和社会のモデルをつくる」の3点[17]。
十の柱
基本政策として、「十の柱」の名で10の政策を発表している[18]。
支持層
政治学者の萩野寛雄によれば、従来の高齢者を中心とする政治への失望感を覚えた若年層が支持層の中心をなしている[3]。実際に、JNNの調査によれば、2022年の参議院選挙では、若い世代ほど参政党に投票した割合が高かった[2]。また、保守的な思想を持ちながらも既存政党に不満を持つ有権者の受け皿を目指しており、自民党関係者からは保守系支持層の一部が切り崩されるのではないかとの警戒の声もあったという[3]。同じくJNNの調査では、投票者が「岸田内閣を支持しない」と回答した割合は約6割に上り、比例区に候補者を立てた全政党の中で最も高かった[2]。
組織・役職
2022年7月現在のボードメンバー(党役員)は以下の通り[19]。
役職 | 氏名 | 所属・主な肩書 |
---|---|---|
共同代表 | 松田学 | 元衆議院議員 |
赤尾由美 | アカオアルミ株式会社代表取締役会長 | |
吉野敏明 | 歯科医師 | |
事務局長 | 神谷宗幣 | 参議院議員(就任予定) |
副事務局長 | 川裕一郎 | 石川県議会議員 |
「国民参加型政党」を標榜し、党の方針をメンバーとともに作り上げることを意図している[3]。政策について、神谷は「一切関与していません。(中略)僕の考えとは違うところもありますが、党員がそれでいいなら良いと思います」と語っている[20]。
党員・サポーター
サポーターは、週に一度、活動報告やイベントのお知らせなどがメールで配信される。メルマガ会員は、月500円で上記に加え、週に2度、武田邦彦・吉野敏明・神谷宗幣らの音声メルマガが提供される。一般党員は、月1,000円で上記に加え、政策学校「DIYスクール」への参加資格。党大会等の運営参加資格などがある。運営党員は、月4,000円で上記に加え、政策会議で決定した政策立案における投票権、出馬議員の予備選挙の投票権などがある[21]。
党勢
参議院
選挙 | 年 | 当選/候補者 | 非改選 | 定数 | 議席占有率 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
第26回 | 2022年 | 1/50 | 0 | 245 | 0.4% |
所属議員
国会議員
参議院議員 |
---|
2028年改選 |
神谷宗幣 (1回、比例) |
括弧内は当選回数と選挙区。
地方議員
県議会議員(1名) | ||||
---|---|---|---|---|
川裕一郎 (石川県) |
||||
市町村議会議員(7名) | ||||
パタソンひとみ (埼玉県飯能市) |
大津力 (埼玉県飯能市) |
野口和彦 (埼玉県飯能市) |
石島茂雄 (静岡県伊東市) |
豊哲也 (鳥取県大山町) |
荻村文規 (広島県廿日市市) |
朝長勇 (佐賀県武雄市) |
以上は党のメンバーとして掲載された議員[19]。必ずしも公認候補として当選したものではない。
財政
令和2年度の政治資金収支報告書によれば、収入は約8600万円、その内会員による会費収入は、約2400万円である[1]。
キャッチコピー
年 | キャッチコピー |
---|---|
2022 | 投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる[3] |
脚注
注釈
出典
- ^ a b 参政党政治資金収支報告書公表(令和2年分公表) (PDF)
- ^ a b c d “議席獲得が確実な「参政党」 どんな人が投票したの? ~出口調査から最速分析!~”. TBS (2022年7月10日). 2022年7月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g “「ブルーオーシャン」飛び込んだ参政党 SNS世代巻き込む”. 産経新聞 (2022年7月10日). 2022年7月11日閲覧。
- ^ a b c d e “参政党、1議席獲得で政党要件満たす…選挙区と比例ともに得票率2%以上に”. 読売新聞 (2022年7月11日). 2022年7月11日閲覧。
- ^ a b “Gossip YouTuber, comedian and an athlete win seats in Upper House” (英語). 朝日新聞 (2022年7月11日). 2022年7月11日閲覧。
- ^ 参政党 (2022年7月7日). どういうプロセスで憲法を創り直すか…、一緒に「創憲」について考えよう!まずは認識を (Youtube) 2022年7月12日閲覧。
- ^ “機関紙”. 参政党. 2022年7月13日閲覧。
- ^ “参政党のロゴの鳥は何ですか?”. 神谷宗幣. 2022年7月13日閲覧。
- ^ a b 参政党Q&A基礎編 & 2022-6, pp. 1–10.
- ^ “参政党”. 参政党. 2022年7月11日閲覧。
- ^ a b c d e f “神谷宗幣氏ら新党「参政党」結党、ネット動画で発表”. 速報日本 (2020年4月12日). 2022年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年7月11日閲覧。
- ^ 自分たちでつくってみた & 2020-11-17, pp. 1–36.
- ^ 2020年(令和2年)5月28日総務省告示第174号「政治資金規正法の規定による政治団体の届出があったので公表する件」
- ^ a b c d e “新興勢力「参政党」国政政党目指す戦い 初の議席獲得”. NHK (2022年7月10日). 2022年7月11日閲覧。
- ^ KAZUYA (2021年4月20日). 「参政党」について謝罪したい (Youtube) 2022年7月11日閲覧。
- ^ a b 日本大百科全書(ニッポニカ). “政党要件”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2022年7月11日閲覧。
- ^ a b “演説とSNSで支持伸ばした「参政党」とは。どんな党? なぜ勢力拡大?主張には危うさも… 参院選で議席獲得”. BuzzFeed (2022年7月10日). 2022年7月14日閲覧。
- ^ “十の柱”. 参政党. 2022年7月12日閲覧。
- ^ a b “メンバー紹介”. 参政党. 2022年7月11日閲覧。
- ^ “神谷宗幣氏は演説中にこう感じていた!参政党のキーパーソンとライブチャットまとめ【参院選2022】”. 選挙ドットコム (2022年7月7日). 2022年7月14日閲覧。
- ^ “党員”. 参政党. 2022年7月12日閲覧。
参考文献
- 参政党 『投票したい政党がないので自分たちでつくってみた』扶桑社、2020年11月17日。ISBN 9784594086541。
- 吉野敏明、神谷宗幣 『国民の眠りを覚ます「参政党」』青林堂、2022年2月。ISBN 9784792607203。
- 吉野敏明、赤尾由美 『参政党の吉野と赤尾が語るブレない生き方』青林堂、2022年3月。ISBN 9784792607227。
- 神谷宗幣 『参政党Q&Aブック 基礎編』青林堂、2022年6月。ISBN 9784792607296。
関連項目
外部リンク
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共同代表 松田学 赤尾由美 吉野敏明 事務局長 神谷宗幣 成立年月日 2020年4月11日 本部所在地 〒565-0851 大阪府吹田市千里山西1-37-40[1] 衆議院議席数 0 / 465 (0%) (2022年7月11日現在) 参議院議席数 1 / 248 (0%) (2022年7月26日現在) 都道府県議数 1 (2022年7月11日現在) 市区町村議数 7 (2022年7月11日現在) 党員・党友数 8万人以上[2] (2022年7月10日現在) 政治的思想・立場 保守[3][4] 反グローバリズム[5] 人民主義[5] 創憲[6] 機関紙 参政党DIYタイムズ[7] シンボル 鳳凰[8] 公式カラー 橙色[9] 公式サイト 参政党 テンプレートを表示 YouTube チャンネル 参政党【政党DIY】 活動期間 2019年4月18日 ジャンル 政治 登録者数 19.7万人 総再生回数 1219万回 YouTube Creator Awards[表示] チャンネル登録者数、総再生回数は 2022年7月12日時点。